<成東児童保健院とは>
東京都立の児童養護施設のひとつで旧虚弱児施設になります。東京駅から特急で約1時間、千葉県山武郡成東町にありました。児童養護施設は、虐待やひとり親家庭などのさまざまな事情で家庭で暮らすことの困難な、2歳〜18歳くらいまでの子どもたちが暮らす施設です。成東児童保健院は、そのなかでも慢性疾患をもつ子どもたちが生活をしながら近隣の学校に通っていました。
 
<その特徴は?>
子どもたちのいろいろな病気に対応するために施設内に病院部門があり、医師、看護士、保育士に栄養士、心理相談員などが配置されています。このように病院が児童養護施設のなかに併設されているところは、全国でも成東児童保健院を含め2ヶ所しかありません。他の都道府県ではこのような医療体制の整った施設がないために、慢性的な病院生活を余儀なくされている子どもたちもいます。虐待の急増に伴い児童養護施設の必要性が高まるなかで、医療的なケアを可能とする児童養護施設の充実が求められています。

東京都は財政支出削減のため、この成東児童保健院の廃止を決定しました。この施設の必要性を訴える現場の声も聴かず、新たな受け皿も用意していません家庭にいられない事情と病気を併せ持つという、二重の苦労を背負ったここの子どもたちは、施設を「家」「故郷」と慕っています。ここを無くすことは、生活や健康に支障をきたす子どもが出るだけでなく、大切な居場所をうばうことでもあります。ここがなくなると、病気の重い子は慢性的な入院生活を余儀なくされてしまいます。